STORIES:OKUROJI
【大人のみだしなみ講座】#2 前編
SHETLANDFOXの上質な革靴を履いて、彼女のご両親に会いに行く

2020.08.27
大人のみだしなみってなんだろう? 画家であり、小説家でもある23歳のKaito FukuiさんがOKUROJIのお店を訪れ、人生の先輩たちにみだしなみのアドバイスをもらいながら、”大人”について考えていく連載です。第二回は、SHETLANDFOXの布施 隆行さんに革靴の魅力についてお聞きしました。
Photo: Saori Tao Text & Illust: Kaito Fukui
SHETLANDFOX
1982年、リーガルコーポレーションから高級ラインとして登場し、2009年に「ブランドに惑わされない日本人のための日本製の靴ブランド」として再デビューした。日本人の足の形を長い歴史と経験から分析し、日本製にこだわり職人が一つ一つ長い時間をかけ今なお、手作りされ流行にとらわれることない、長く履ける靴を世に送り出している。
ある日、長く付き合っている彼女の携帯にご両親から電話があった。携帯から漏れる、お父さんの声。少し曇る彼女の表情。
「いつになったら、彼は挨拶に来るのかい?」
それは、はっきりとしっかりと聞こえた。
「き、今日!今すぐに向かいます!」と、隣から思わず叫んだ。慌てて家に帰り、成人式以来一度も着ていないスーツをクローゼットから引っ張り出し
「シャツが、シャツがない!」と、慌てていると
「さっき洗ったよ」
彼女の一言。
「もう!綺麗なTシャツ着て!」
「は、はいぃ!」
持っているTシャツの中で1番白いTシャツを探し
「よし!行こう!」
真っ白のスニーカーを履いて、玄関で待っていると
「え、革靴持ってないの?」
と、呆れた様子の彼女。
「ち、違うよ!今から買いに行くの!先に行ってるね!」
と、家を飛び出した。
裸が1番似合う少年は、いつしか思春期を迎え、彼女が変わるたびに、服装も変わり気がつけばスニーカーを集め始めたりして。時は経ち、オシャレにすっかり油断していたボクは新たな、TPOが出現し大人の階段を一段登ろうとしている。が、男なら一足は持っていないと話にならない。革靴をどうしたことか、持っていない。初めて、買う革靴は特別だから長く、大切に履き続けたい。ボクの人生を共に歩む一足を求め、日本製、手作りにこだわるSHETLANDFOXへ。途中でTAXIに乗り込み
「日比谷の方へ!」
渋谷から、東京駅、皇居、丸の内。街は、ボクを迎えるかのように、どんどんと、大人の表情へ変わる。
「ここです!」
運転手さんにそう伝え、お店の前で降りる。背筋を伸ばして高級感のある、重厚な扉を開けて店内へ。

店内にずらりと並ぶ、革靴に圧倒され、右も左も、まずどれを迷ったらいいのかもわからずにいると
「いらっしゃませ」
と、素敵な声で挨拶をしてくれたのは店長の布施隆行さん。

布施 隆行(ふせ・たかゆき)さん/SHETLANDFOX店長。アパレルショップを経て、24歳の頃に革靴に興味を持ち、革靴業界へ。お子さんが生まれたばかりで、休日はイクメンパパとして過ごしている。旅行が趣味で、年に2回は奥さんと海外旅行に出かける。OKUROJIで気になるお店は、そうめん そそそ。
「何か、お探しですか?」
「彼女のご両親に挨拶へ行くことなって…」
「スニーカーもいいですけどね…」
「そうですよね…こんなに種類があるとは思わなかったからどれを選んだらいいのか…」
「こちらのケンジントンⅡなら冠婚葬祭も幅広く使えておすすめです」

「この、フラップ?が内側と外側、何が違うんですか?」
「これは、内羽根式、外羽根式と言って簡単に説明しますと、内羽根式がインドア、外羽根式がアウトドア、室内のシーン屋外のシーンをイメージして分けることができます」
「初めて知りました…」
「実は、紐にも違いがあって、丸紐と平紐があります。選び方と言いますか、好みもありますけど丸紐よりも平紐の方が品があるとされていて、履いて行く場面を想像して変えてもいいですね」
「丸より平」
「こちらの、ケンジントンⅡは本当にこだわりが詰まっています。ピッチドヒールと言って他の靴よりも少しかかとが細いでしょう?これも職人が丁寧に削り出して作っています」

「すごい…」
「それに、シェットランドフォックスの靴は木型に入れる時間が長い。ゆっくり時間をかけて作ることによって、しっかり革に木型の形がつきます」
「革の質? いい革靴を選ぶポイントはありますか?」
「革のキメが細かければ細かいほどいいとされています」
「履いてみますか?」
と、ボクの足のサイズを見ただけで当ててぴったりの、サイズを持ってきてくれた。

Profile
Kaito Fukui
画家、小説家。1997年東京都出身。サーフィン中心の生活から都心生活に移り3年。離れて再認識した、海、サーフィン。ディアル生活を考える日々。anna magazine のweb メディア“container“にて「えもーしょん」連載中。
Instagram : @kaito_fukui @vacanceshop