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2022.02.02

【高架下ものづくり会議】VOL.4 アフターレポート

高架下ものづくり会議 Vol.4 【動画アーカイブはこちら】 【イベント概要はこちら】

素材の個性を生かした愛されるプロダクト〜「木」と「デニム」から紐解く未来のものづくり〜

 

 ”日本のものづくり”をコンセプトに、JR 秋葉原駅と御徒町駅間の鉄道高架下に開業した商業施設『2k540 AKI-OKA ARTISAN(ニーケーゴーヨンマル アキオカ アルチザン)』。そんな2k540の店舗が登壇し、ものづくりの裏側や思いを存分に語るトークイベント「高架下ものづくり会議」vol.4の様子をお届けします。

「素材の個性を生かした愛されるプロダクト」と題したvol.4では、木製雑貨ブランド「Hacoa(ハコア)」の岩竹さん、岡山デニムブランド「Blue Trick(ブルートリック)の中村さんに登壇いただきました。木とデニム、素材の違いはあれど、その個性を楽しみ長く愛されるプロダクト作りに携わるお二人。両者のブランドとお二人の思いについて、ブランド愛を含めて語っていただきました。

【ゲスト】
bluetrick(ブルートリック):中村さん(店長)
Hacoa(ハコア)ダイレクトストア:岩竹さん 
※Hacoaは2021年12月に閉店

 

Q. まずは、それぞれのお店とご自身について紹介をお願いします。

<Hacoa>

岩竹さん:

「Hacoaは2001年に誕生したオリジナル木工ブランドです。母体となる山口工芸は伝統工芸士の山口怜示・現会長により1962年に福井県鯖江市で創業され、Hacoaブランド誕生から10年目の節目に、東京に進出し第一号店としてここ2k540店が誕生しました。

Hacoaという名前は、越前漆器をベースにした「箱物」の伝統技術に、プラスアルファの感情を吹き込んだ新しいものづくりを目指して名付けられています。

2k540店はお客様のリアルな声を吸い上げ、商品やサービスに反映させるための「ダイレクトストア」と呼ばれる店舗です。Hacoaではものづくり=愛着づくりと考えています。お店ではお客様との商品選び、刻印サービス、ラッピングを通して、これからを共にするアイテムへの愛着を育んでいます。特に、名入れ刻印をはじめとしたオリジナル刻印は誕生日プレゼント、会社の記念品、ご結婚のお祝いなど、大切な贈り物にご利用いただくことが多く、そういった人生の節目に寄り添えることに何よりもやりがいを感じています。」

【Hacoaダイレクトストア PV】

▲オリジナルの時計

「お店の商品は8-9割の商品に名入れができます。商品の在庫があれば、30分くらいで店頭でレーザー刻印が可能です。商品はすごく手触りもいいのでお店でぜひ実感していただきたいです。
商品は、福井の自社工場で製造しており、他にもデザインはHacoa、製造は海外で行っているブランドもあります。」
 

 

<BlueTrick>

中村さん:

「Blue Trickは国産ジーンズ発祥の地と呼ばれる岡山県の西端・井原市に工房を構え、熟練職人が一点ずつ手作業でものづくりをしているブランドです。名前の由来は、藍やインディゴの色味であるBlueと、さまざまな技法、トリックを用いてものづくりをしていることから。岡山県井原市の本社には自社縫製工場があり、そこには熟練の職人さんがいて、毎日商品を作っており、一点ずつ職人の思いが詰まった商品が店頭にも並んでいます。

Blue Trickのものづくりはまず、生地づくりから始まります。商品の出来上がりをイメージしながら、生地屋さんで職人さんも交えて生地選びをします。生地は既製品ではなく、商品に合わせて糸から染めているのが私たちのこだわり。生地から商品をイメージすることもあれば、商品イメージから生地の色合いや柄を一から作ることもあります。

Blue Trickの商品は生地の種類がたくさんあるのが強みでもあるんですが、デザイナーの社長夫人が生地をみて、こういう生地ならこういう商品があったら素敵だよねというところからデザインを考えていきます。」

【BlueTrick PV】

「生地が出来上がると、糸の縮みも計算しながらパターンを引き、裁断します。以前の工房には小さいながら裁断場もあって、社長が自ら裁断することもよくありました。

裁断のあとは洗い加工。これはデニムならではで、ウォッシュ加工のような、履き込んだような加工や、色褪せたような風合いをわざと出すための加工を行います。ジーンズの中に石を入れて洗ったり、やすりをかけたり、こうした加工は機械でもできますが、私たちの工房では職人が一本一本手作業で加工をしています。

こうして糸から商品まで、全て自社で携わっているのがBlue Trickの商品作りの特徴です。また、経年変化が楽しめるというのもポイントです。Hacoaの木材と同じように、デニムもだんだん色が落ちてきて、最初に選んだ時から少しずつ時を重ねていい色になっていく。その過程も楽しんでいただけたらと思っています。」

 

木とデニム、一見すると全く違う素材に思えますが、実は「素材の個性を楽しむ」「経年変化を楽しめる」といった共通点があることが分かりました。

イベント後半は参加者からの質問も織り交ぜつつ、さまざまなテーマでのトークを展開しました。

Q. それぞれのブランド商品の特徴は?販売する際に、お客さんにどのような思いを伝えたいと考えていますか?

岩竹さん:

「商品にもよりますが、Hacoaで扱っているプロダクトの木材は10種類くらいあります。中でも主流はメープル、ウォルナット、チェリーの3種類。同じ商品でも木材によって、色味や木目、さらには重さも全然違います。希少な木材を使っていると値段も高級品になるので、ギフト用途などでは木材から選ぶのもおすすめです。

Hacoaでは商品を購入いただく際、在庫の中から木目も選んでいただいています。私は商品を我が子のように思っているので、どの木目の子が選ばれるかな?といつもドキドキしながら、選ばれた商品は嫁に出すような気持ちで送り出しています。

中でも、時折個性的な木目の商品があります。特徴的なので、人と被らない商品をお探しの方には特におすすめです。昨年はそんな個性的な木目の商品を集めた「レアな木目展」という企画も開催したくらいです。

常連さんやHacoaスタッフの中には、お気に入りの木目に出会えるまで何店舗も渡り歩く人もいます。かくいう私も、これぞと思えるスマホケースに巡り会えるまで5店舗くらい足を運びました(笑)。」

中村さん:

「これぞに巡り合うまでのこだわり、楽しいですよね。Blue Trickは、生地からデザインしているというのが面白くて、染めたりプリントしているのではなく、柄を織り込んで生地を作る”ジャガード織”という織り方をしています。プリントのTシャツとかって着ているうちにプリントが禿げたりしますが、ジャガード織ではそうはならない。例えば一色のブルーの糸を使って織ることでドット柄にしたり、緑の色は黄色と青を混ぜて緑を作っていたり、遠目だと一色に見えるんですが、パッチワークのような模様をつくったりと、遊び心のある生地になっています。

また、経年変化を楽しんでいただけるのもポイント。例えばこのジャガード織の商品では一色のブルーの糸を使って織っています。すると、新品だと織り目模様が見えづらいのですが、着ているうちに系の色合いが変化して、模様の様相がだんだん変わってきます。時を重ね、色合いの変化を楽しんでいただけるのは、長く愛用できるデニムならではですね。木工製品にも通じるところがあると思います。」

Q. それぞれのブランドへの愛が滲み出るお二人は、それぞれどのような経緯で今のお店の店長になったのでしょうか?

岩竹さん:

「私は大学で木造建築の学科に通い、ワンダーフォーゲル部に所属していました。共通しているのは「木」。父親の実家が山に囲まれた地域だったこともあって、木が好きだったんです。Hacoaに出会ったのは、贈り物でHacoa製品をもらったのがきっかけ。お客さんとしてHacoaを知って、そのうち働きたいと思うようになり、アルバイト採用から店長をやらせてもらっています。」

中村さん:

「私は服飾大学出身で、前職もデニム関係のアパレル会社にいました。大学卒業後の就職先を悩んでいた時、母からデニムのジャケットを譲り受けたのがデニムの道に進むことになったきっかけです。母が自分と同じくらいの年齢から愛用してきたジャケットが、時を経てすごくいい色になっていて、かつ時代遅れにもなっていない。デニムって、今流行っているものではなくて、人の人生に寄り添えるものなんだとその時気付かされたんです。そこから前職に進み、退職後、縁あってここBlue Trickにやってきました。スタッフはミシンが触れたりものづくりができるメンバーが多いので、店内装飾も自分達でシーズンやイベントに合わせて手作りしています。」

岩竹さん:

「私は入社時、実は販売ではなくつくり手の側に行きたい気持ちもありました。ただ、自分が木が好きな気持ちを伝えられるのは販売職だなと。今では自分が作りたい気持ちよりも、つくり手への尊敬の気持ちから、お客様に商品の良さを語れるようになっています。」

 

Q. お客様の声が商品に反映されることはありますか?印象的な商品は?

岩竹さん:

「Hacoaの代名詞と言ってもいい木製キーボードは、実はお客様の声から生まれました。プラスチックアレルギーの方からのご要望で誕生した木製キーボード、今は販売休止中なのですが、店頭ディスプレイとしても常に人気を集めている代表作品となっています。」

中村さん:

「Blue Trickでもお客様の声は常に反映した商品開発を行っています。むしろ、ぜひ皆様の声を聞かせていただきたいと思っています。こんな商品が欲しい、ここをもっとこうして欲しいなど、店頭でお気軽にスタッフに話してみてくださいね。」

 

Q. お二人にとって、自宅でも職場でもない「サードプレイス」はありますか?

岩竹さん:

「やっぱり木が好きなので、山登りと、山登り後の温泉セットが最高です。」

中村さん:

「場所じゃないけど、私にとっては読書がそれに近いかな。今の世の中、何も考えずぼーっとすることって意外と難しくないですか?寝る以外に脳が休まる時間って実はなかなかない。読書は今の現実世界とは違う世界に連れて行ってくれるので、本を読むことで脳を休憩させています。本の内容というより、その時間自体を大事にしています。」

 

Q.  2k540と他の施設との違いは?

中村さん:

「2k540のお客さんはそもそもものづくりに興味がある方が多いので、商品に対する視点が全然違うと感じます。例えば経年変化の説明や、素材ごとの違いをお話すると、とても熱心に関心を持って聞いてくださることが多い。こちらの話したいポイントにお客様が食いついてくれると、よくぞ聞いてくれたって嬉しくなることもあります(笑)。ぜひそんなお話も楽しみにお越しください。」

岩竹さん:

「2k540は路面店、かつ”ものづくりの街”なので、店舗でワークショップを行ったり、レアな木目展などの企画ができるのは、他にはない面白さですね。今後もお客様の声に合わせていろんな企画をやってみたいです。また、Hacoaの他の店舗ではギフト需要が多いのに対して2k540では自分用に購入される方が多い、自分のアイテムにこだわりたい方が多いんだなという印象です。」

 

Q. 最後に一言おねがいします!

中村さん:

「楽しかったです!木のことも興味はあったけど直接聞けることがなかったので、もっと質問したかったくらいです。」

岩竹さん:

「Hacoaの一号店の歴史、ここから始まったんだなと少しでも伝わってくれてたら嬉しいです。楽しかったし色々と勉強になりました。ありがとうございます。」

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